二十一通の手紙




 

 

二十一通の手紙

作詞・作曲:細身のシャイボーイ

 

君がくれた二十一通の手紙は

恋の終わりを告げる手紙

悲しくってさ悲しくってさ

何度も何度も涙をした手紙

 

ふいに君から手渡された手紙が恋文であることは

赤らんで俯く君の横顔が教えてくれていた

黙って受け取る夕暮れ時 何を言うべきか分からずに

「後で電話するよ」言い残して 走って帰ったんだ

 

胸の鼓動抑えて開いた手紙には

綺麗な文字で想い 綴られていた

 

君がくれた初め一通目の手紙は

恋の始まり告げる手紙

嬉しくってさ嬉しくってさ

何度も何度も読み返した手紙

 


恋人同士なった二人 時に喧嘩するときもあれど

その度にお互いに手紙を書き 愛を深めていった

やがて春が来て若い二人 僕は都会へ 離ればなれ

泣かないで恋人 出発ベル鳴り 列車へ乗り込んだ

 

ドアが閉まる直前 渡された手紙 

手を振る君見えなくなってから開いた

 

君がくれた七通目の手紙は

しばしの別れ惜しむ手紙

さみしくってさ さみしくってさ

揺れる電車の中 涙をした手紙

 

 

慣れない都会の暮らしの中に安らぐ時間も見つけられずに

電話越し ふるさと 君に強がり 平気を装った

いっそすべてから逃げ出して 君が住む場所へと帰ろうか

後ろ向き 五月雨降る帰り道 家には手紙が届いていた

 

「電話の声を聞いて心配を聴いて心配をしています

 体には気をつけて頑張ってね

 でも忘れはしないで 帰る場所があること

 いつでも笑顔で迎えてあげるからね」

 

君がくれた十三通目の手紙はすべて

お見通しだった手紙

情けなくってさ 負けてたまるかってさ

胸に誓って握りしめた手紙

 


都会の暮らしにも慣れ始めて

新しい友達もできてさ

面倒くさがり 僕の悪い癖さ

少しずつ連絡をさぼりはじめてた

 

君からの電話も取れない日々

だけど何の心配もないのさ

離れていても大丈夫僕ら 心は一つだと勝手に信じてた

 

久しぶりに開いたポストの中見つけた

いつもと何か雰囲気違う手紙を

読んでみて驚いた 慌てて電話するも

繋がらなくて僕は途方に暮れた

 

君がくれた二十一通目の手紙は

恋の終わりを告げる手紙

悲しくってさ ねぇどうしてってさ

何度も何度も読み返した手紙

 

 

 

「あなたと離れて暮らした日々に

私は気付かされたのです

自分で思っていたより私

とても弱かった

 

あなたを都会の綺麗な人に

取られてしまうのではないかしら

不安は募れど減ることはなくて

私は辛かった

 

そんなとき元気づけてくれる人がいました

私にはそれがありがたくて

ごめんなさい さよなら これが最後の手紙

新しい恋をしています」

と綴られていた

 

 

君からの最後の手紙 そっと閉じて

僕からも最後の手紙書いた

手は震えて 涙で文字滲んで

何度も何度も書き直した手紙

 

君がくれた二十一通の手紙は

一つの恋の始まりと終わり

すべて見届けて 机の奥で

箱の中いまはゆっくり眠ってる