私はメインのCDを様々な場所で配っていますが、それを聴いてライブに来てくださったお客様に感謝の意を込めて「細身のシャイボーイの逆襲」という新しいCDを作りました。
このCDには私がこの2年間で作った60曲の中から、メインのCDには入れることができなかった28曲が入っています。
面白いもので、曲は作れば作るほどだんだんと構成が凝ったものになったり、録音の技術も少しずつ上がってきました。
しかし、たまに音楽活動を始めたばかりの頃の曲を聴いてみると確かに稚拙な面もあるのですが、今よりも純粋でまっすぐな曲が多くあり「今、誰かにこれを聴いて欲しい」と思うようになりました。
もしかしたら私のことを全く知らない人がこのCDを聴いたらあまり良い印象を持たないかもしれないので先にメインの方のCDを聴いていただきたいのですが、ライブを観ていただけた人には私の全てを知ってもらえる特別な1枚になっていると思います。
収録する曲はたまに変えていこうと考えていますが、その都度このページでお知らせさせていただきます。
長くなりましたが、ぜひライブ会場にて「逆襲」を手に入れてください。きっとあなたの心に響く1曲があると信じています。お渡しできる日を楽しみにしております!
細身のシャイボーイ さとうたかよし
【収録曲】
1:派手なロックンロール
2:Radio
3:梨丘
4:友達の唄
5:夏の妖精
6:僕のラブソングはつまらない
7:ねむれない
8:ラジオを聴いていた
9:嘘泣き
10:暗いアパート
11:プレゼント
12:雨降り
13:きっと幻
14:港で
15:雪だから
16:線香花火
17:相生橋
18:日めくりカレンダー
19:最寄駅
20:ロックバンドを組もうぜ
21:新幹線は速すぎる
22:手を握ってて
23:夕暮れプリンセス
24:桜の唄
25:歌
26:猫になっておいで
27:LUCY
28:馬鹿みたいに笑うお前が好きだ
1:派手なロックンロール
この曲は作曲を始めた当時、「いつかきっとバンドを組むだろうから、バンド映えする曲を用意しておこう」と考えて作った曲です。結局ソロで本格的に活動し始めたので必要なくなってしまいました。
2:Radio
このRadioという曲は僕が一番最初に作ったとても大切な曲です。
音楽理論の本を色々読んで、必死に歌詞を考えて、なんとかこの1曲が出来上がったときは心から嬉しかったことを覚えています。
今ではほとんど歌わなくなりましたが、活動を始めた当時はライブの最後に必ず歌う曲でした。
3:梨丘
初期の1曲。横浜出身なんて言うと勘違いされることがあるのですが、僕が暮らしているのはこんな穏やかな丘に囲まれた場所なんだよ、ということを知っていただきたくて作った淡い恋の歌です。歌詞も3番まであり、のちの「二十一通の手紙」の基盤ともなった曲なんです。
4:友達の唄
これも初期の1曲です。まだ人前では1度も歌ったことがないかもしれません。
僕はギターがあまり上手くなく、細かくコードが切り替わる曲を作ることを避けていたので、この曲で初めて挑戦しました。Bメロでガラっと曲調が変わるのですが、これを作ったときは「なんだかアーティストっぽい!!」とひとりでにやにやしていたことを覚えています。
5:夏の妖精
僕は2012年の8月の1ヶ月間、1日1曲ずつ作っていたのですが、その中で出来た曲です。31曲作って自分で納得の出来だったのがこの「夏の妖精」と「あの娘の恋がうまくいきませんように」でした。
後者のほうは今では細身のシャイボーイの代表曲になってくれて嬉しいのですが、僕はあの夏のことを思い出すときにいつもこの「夏の妖精」のことも一緒に考えてしまうのです。
6:僕のラブソングはつまらない
暗い曲調ながらもサビで「やってやるぞ。いつか。いつか!」という希望を入れようと思って作った曲です。
メインのCDには明るい曲調の歌がたくさん入っていますが、やはりひとりでギターをぽろんと弾いているとこのような暗い歌が多くできます。悲しい男の歌です。
7:ねむれない
これも初期の一曲。皆さんには普通の曲に聞こえるかもしれませんが、僕はこの曲ができたときに、「ものすごい曲を作ってしまった…」とひとりで震えていました(笑)
なにがすごいと思ったかというと、ほとんど曲展開らしい展開がこの曲には無いんです。のべーっと最初から最後まで続きます。そんな中で最後のサビ前の一節、
「同じ世界の中で生きてる それだけで素晴らしいのに」
という言葉は特に好きな歌詞の1つです。
8:ラジオを聴いていた
僕はラジオが大好きで、将来は日本一のラジオのパーソナリティーになることが夢ですが、そんなラジオへのラブレターのような曲です。
好きな女の子と話すための会話力アップを目的にラジオを聴き始めましたが、初恋は散り、目的が無くなってからもなぜか僕はひたすらラジオを聴いていました。
その虚無感や寂しさをぎゅっと詰め込んだ一曲です。
9:嘘泣き
流しをしていると色々な恋の話を聞くことができます。
僕のお客さんのひとりに年上の綺麗な女性がいました。とても明るい人でその人と話しているとこちらまで楽しくなってしまうような素敵な人でした。
ただ、お付き合いをしている男性が少し困った男の人で、お姉さんは笑い話として僕にその男の人の話をよくしてくれました。
そしてある日急にそのお姉さんは挨拶もないまま、自分の故郷に仕事も辞めて帰ってしまいました。理由はその男の人と別れるためでした。
嫌いだけど本当は好きで、近くにいるとつい気にかけてしまう。
そんな気持ちは恋を知らない僕にはとても分かりませんが、これはこれでとても美しい恋の終わらせ方だと思ったのです。
10:暗いアパート
この「細身のシャイボーイの逆襲」の中で特に聴いて頂きたい曲です。
この曲は2011年のクリスマスイブにひとりで船の特集のテレビ番組を観ていたときにメロディーが浮かびました。
「なぜ22歳にもなってひとりで聖夜を迎えなければならんのだ!」と半ば怒りに任せて朝までに完成させたことを覚えています。
もともとメインのCDに入っていましたが、あまり褒めてもらうことが無かったので、メインからは外しました。
でも曲自体はとても良いと思うのです。だから自分がこの曲をちゃんと伝えることが出来なかったことが悔しい。いつか必ずフルバンドサウンドで録音して素晴らしい曲にしてみせると心に決めています。
つまり、逆襲です。
11:プレゼント
こんな短い曲を作るのが大好きです。
いかに短い曲の中で恋をちゃんと終わらせることができるか挑戦するのは至福の楽しみです。
12:雨降り
全力で気取った一曲。2011年の年末にかなりたくさん曲を作ったのですが、色々と模索していたのだと思います。
どんな曲を作れば女の子から人気が出るか考えた結果、このような曲ができたのではないでしょうか。
今となってはとても微笑ましくもあります。
13:きっと幻
ずっと前からサビのメロディーだけ頭の中にあったのですが、なかなか1曲にするのが難しくて先延ばしにしていました。
無理やりまとめた感じもしますが、愛しい人に逢いたいと強く祈る雰囲気が好きです。たまにひとりの部屋で歌って勝手に泣きそうになることがあります。
14:港で
船乗りが陸に残した恋人のことを想った曲。
僕は商船大学の出身なので船乗りの友人が多くいますが、やはり船乗りの恋は大変なようです。
一度航海に出てしまうと、1年近く帰って来れないこともある世界。ネットが普及して連絡はできるといっても、やはり辛いだろうと思います。
船乗りの恋がどうかうまくいきますように。
15:雪だから
これも2011年の年末に出来た曲。
「繋いだ手のひらに…」
という落ち着いた始まりから、だんだんとサビに向かって盛り上がっていく様はとても気に入っています。
僕は何度かこの「細身のシャイボーイの逆襲」を通して聴きましたが、この曲くらいで毎回眠くなります(笑)
メロディーがとても心地よいからだと自分に言い聞かせています。
16:線香花火
2012年の夏、僕は寮の友人2人と毎日朝早くから近くの区民プールに行って泳いでから、夜は都内のありとあらゆる祭りに行っていました。とても楽しかったのですが、つい気を緩めると
「23歳の夏ってこれでよいのかな…」
とうっかり思ってしまうことがあり、その気持ちを持て余したので曲の中に詰め込みました。
17:相生橋
僕が暮らしていた門前仲町と月島とを繋ぐ相生橋を歌にしました。
歌詞のような恋をすることは1度もありませんでしたが、銀座に歌いに行くときはもちろん、毎日のようにこの橋を渡らせてもらっていたので、勝手にお礼の気持ちでこの曲を作りました。
18:日めくりカレンダー
「自分の寂しい部屋の中にある物で恋の歌を作ってみよう」というチャレンジをしていた時期があり、そんな中で出来た1曲。
流しのときによく歌っています。
いつか「ただいま」っていつもの笑顔でお前が
僕のもとに帰ってきてくれたときは
もう一度 毎日を二人で進めていこうよ
壁に掛けた日めくりカレンダー
というサビの歌詞はこのチャレンジの中で一番自分のことを悲しくしてくれました。
19:最寄駅
初期の細身のシャイボーイの代表曲です。たぶん曲を作り始めて2~3曲目の作品だと思います。
代表曲といっても勝手に自分でそう思っていただけですが、この曲が出来たとき、
「自分にも作詞作曲ができるのではないだろうか」
と激しく感動したことを覚えています。僕は曲に自分の経験を入れることはほぼありませんが、この曲だけは全て自分のことを歌っています。
これを書いていて思い出しましたが、踏み切りの音や電車の通り過ぎる音を入れたくて、近くの踏み切りでボイスレコーダーを持って何時間も立っていた日のことがとても懐かしいです。
20:ロックバンドを組もうぜ
細身のシャイロック唯一のオリジナル曲
21:新幹線は速すぎる
作詞:日々沼拓郎 作曲:細身のシャイボーイ
22:手を握ってて
僕が生まれて初めて作ったラブソングです。
ご存知の通り、僕は恋の経験が180日間しかないので、それを基にラブソングを作るというのは至難の業でした。
それでももがきながら
「なんとしてもラブソングを作ってやる!」と必死に毎日取り組んでいたところ、ふとこのサビのメロディーが思いつきました。
自分としてはこのサビが細身のシャイボーイの曲の中で一番美しいと思っています。
完成してすぐ誰かに聞かせたくて、いつも仲良くしてくれていた後輩を呼び出して聴いてもらったところ、
「さすがに男2人だけの状況で聴くのはしんどいですね」
と言われたことを覚えています。
23:夕暮れプリンセス
高校生のとき、毎日同じ時間同じ歩道橋ですれ違う女の子がいて、僕はその娘に逢うことが毎日の楽しみでした。
それからしばらく時が過ぎ、そんなことはすっかり忘れていた22歳のある日、場所は違うのですが、たまたまその女の子を見かけたのです。
その瞬間、17歳のときのことをぶわっと思い出し、あの頃のあの歩道橋の上で感じた想いを残しておきたいと考えてこの曲を作りました。夕焼けが綺麗でした。
24:桜の唄
桜について歌いたいと考えていたときに、ふと昔のことを思い出しました。
中学生の時にギターを始めたもののなかなか上達しなかった僕は
「好きなあの娘が好きな曲なら弾けるようになりたくて必死に練習するんじゃないかしら」
と思って、意中の娘に聞いてみたんです。そうしたら河口恭吾さんの「桜」が好きとのことでした。
そりゃたくさん練習したよ。そんな小さな思い出を曲にしました。
25:歌
僕はアコースティックギターの音が大好きです。
なんでこんなに好きなのだろうと考えたとき、聴いているとほっとするからだと思いました。
それならばこのギターの音にやさしい歌詞をつければ、聴くだけで安心できるような歌が出来るのではないだろうか…そう考えて作ったのがこの曲です。
これもわりと初期の曲ですね。
26:猫になっておいで
なんのメッセージもない曲です(笑)
船で実習を受けている最中にこの「猫になっておいで」というフレーズが頭に浮かんでこの曲ができました。
子供に非常に受けがいい一曲です。
27:LUCY
なぜか僕は20歳前後のとき、外国人の女性とお付き合いしてみたいと思っていた時期があって、そんな時にこの曲ができました。
いまになって思い返すと早々と日本人の女性を諦めて、「海外の人ならもしかしたら…!」と考えていたのかもしれません(笑)情けないものです。
28:馬鹿みたいに笑うお前が好きだ
最後の一曲は「馬鹿みたいに笑うお前が好きだ」です。
2012年の年末に、いつも応援してくれる人に感謝の歌を作りたいと思い、この曲ができました。
僕は流しとして音楽活動を始めたこともあり、お客さんは多くても10人くらいを想定しながらずっと練習をしてきました。
それが色々な人たちとの出会いの中で心境が変わってきて、できる曲も多くの人に向けて作るようになりました。
これから自分がどうなっていくのか全く分かりません。もちろん誰にも分かりません。
でも僕はいつまでも変わらず、聴いてくれる人に対して誠実な気持ちで歌い続けていきたいと思っています。
僕の歌やお喋りでたくさんの人を笑顔にしてみたいです。
そんな気持ちがぎゅっと詰まっています。
この「細身のシャイボーイの逆襲」という少し異色なCDの締めくくりにはこの曲がぴったりだと考えて選びました。